『海の向こうで戦争が始まる』村上龍

20160411-01

村上龍のデビュー作『限りなく透明に近いブルー』に続く小説。村上龍には『69(シックスティ・ナイン)』という青春小説があって、そちらも好きなのですが、わたしにとっての村上龍はこの『海の向こうで戦争が始まる』です。

初期の村上龍といえば粘液の描写です。この小説の中でもネトネト、ベタベタとした粘液の描写が執拗に出てきます。これが読んでて気持ちいい。猥雑で性的で甘美なイメージの連続。『限りなく透明に近いブルー』よりもこちらの方が読んでてドラッギーな印象を受けます。音楽でいうと、『マイ・ヴラッディ・ヴァレンタイン』とかかな?移ろいやすくて、儚いイメージ。デヴィッド・リンチの映画なんかも連想します。

後年、金井美恵子さんのエッセイでジュリアン・グラックの『シルトの岸辺』がもとになっていると知りました。