胸に重い物が残るような、中に空洞が広がっていくような - 『楢山節考』深沢七郎

20160413-01

今回ブログで紹介する小説は『楢山節考』(深沢七郎)です。

楢山節考
民話のうばすて山に材をとった深沢七郎の小説。

読後にずっしりと重い物が胸に残るような読書体験というものが、時々あります。
わたしにとって、『楢山節考』がまさにそれでした。

20代の頃に読んだのですが、ショックが大きくてなかなか再読する気持ちになれませんでした。再読したのは、一年前のちょうど今頃、初めて読んだときから20年以上も経ってました。

ブログでレビューを書こうと思って、今回、パラパラと流し読みしたのですが、やはり駄目です。
胸がいっぱいになるという言葉がありますが、それとは逆に読んでいて胸の中に空洞が広がっていくようなそんな気持ちになってしまいました。おりんが歯を潰すところ、おりんと辰平が別れるところは特に胸に堪えます。

小説とは、頭で読むのではなくハートで読むものだということを実感します。