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『ロング・エンゲージメント』を観ると、この監督が横溝正史の金田一シリーズを撮ったらと夢想してしまう。

20160407-01

画面をパッと観ただけで誰の映画かわかってしまう、そんな特徴ある画作りをする映画監督がいます。『ロング・エンゲージメント』を撮ったジャン=ピエール・ジュネもそんな監督の一人です。

ジャン=ピエール・ジュネと言えば、日本でも大ヒットした『アメリ』の監督として有名ですが、わたしにとって氏のベストといえば、『ロング・エンゲージメント』です。

<あらすじ>
第一次世界大戦に出征した恋人マネク(ギャスパー・ウリエル)が戦死したとの報を受けたマチルド(オドレイ・トトゥ)。「マネクは生きているはず」 自分の直感を信じてマチルドは、マネクの消息を追うのだが…。

セピア調の色彩、車椅子や義手といった小物の使い方、当時を偲ばせる衣装、謎解きの合間に挟まれるユーモアにわたしは夢中になりました。『アメリ』も大好きな映画でしたが、『ロング・エンゲージメント』を観て、ジャン=ピエール・ジュネが本当に撮りたかったのはこれだと確信しました。

この映画を観ると、大好きな市川崑監督の金田一シリーズ、とりわけ『犬神家の一族』を思い浮かべてしまいます。登場人物が多くて複雑に入り組んだストーリー、レトロな時代背景や衣装の魅力、オドロオドロしさとユーモアが同居しているところ、何よりいろいろな要素が入った幕の内的なエンターテインメントであることが、そっくりだと思うのですが、『ロング・エンゲージメント』を観て市川崑の『犬神家の一族』を連想したという人には、今のところ会ったことがありません。残念ながら。

ツイン・ピークス』などデヴィッド・リンチの映画音楽でお馴染みのアンジェロ・バダラメンティが音楽を担当していて、氏の薄曇りの空を連想させるような(?)重厚な音楽も、この映画の画作りに嵌っています。

お薦めです!